リアルネットワークスの高村徳明アジア太平洋地区副社長

顔認証システムを手掛けるリアルネットワークス(東京・渋谷)は医療機関などで使うマイナンバーカードリーダー向けにシステムの提供を始めた。カード内の顔写真のデータと利用者の顔が一致しているかどうかを0.1秒で識別するという。市場全体の4分の1にあたる5万台ほどの需要の取り込みを目指す。

リアルネットワークスが手掛ける顔認証システム「SAFR(セイファー)」をカードリーダーのメーカーに提供した。10月20日から、医療機関で健康保険証とマイナンバーカードを使った本人確認の仕組みが本格的に始まる。病院や薬局を訪れた利用者はマイナンバーカードをリーダーにかざす。付属のカメラがカードのICチップ内の顔写真データと 利用者の顔を照合して自動で本人かどうかを認証する仕組み。これに対応したリーダーは現在4社が手掛けており、そ のうちの1社にセイファーが採用されたという。どのメーカーに採用されたかは非公表。

リアルネットワークスの顔認証システムは独自の人工知能(AI)で顔の部分ごとの位置関係などから個人を割り出 す。0.1秒で認証する速度や99.87%という精度が特徴。逆光でも顔を認識しやすいほか、マスクを着用した人も 99.5%の精度で認証できるといった強みが評価されたという。国内ではNTTドコモと組んで法人向けにシステム提供 しているが、これほど大規模にシステム提供するのは珍しいという。

リアルネットワークスは1995年に動画再生ソフトの「リアルプレーヤー」を発売した米社の日本法人。携帯電話のカ メラ向けの顔認識ソフトも手掛けて各国でサービス展開してきた。多様な人種や年齢の顔写真について1000万件以上 のデータを持つことから精度の高い顔認証AIを開発することができたという。高村徳明アジア太平洋地区副社長は「まずは医療機関向けで5万台ほどにシステム提供し、今後インフラ関連などに幅を広げたい」と話す。