RealNetworks社 コンピュータービジョン担当GM兼 副社長 ダン グリム

「なぜ、顔認識ビジネスを手伝う決心をしたのですか?すこし怖くないですか?」

私は、アマゾンを退社後、リアルネットワークスからSAFR事業をリードしてほしいと誘われたときから、何度となくこの質問を受けてきました。端的に言うと、私は優れた顔認証技術がセキュリティと利便性を高められると信じています。確かにリスクもありますが、素晴らしい技術です。顔認証が日常生活をどのように変えるかは、企業の選択が大きな決定要因となります。これは重大な責任とチャレンジです。

私は、なぜ顔認証が警鐘を鳴らすのかわかっているつもりです。アメリカの政治風土は政府の過度な干渉への反感が基礎になっていると思います。『1984年』のような小説や『マイノリティ・リポート』のような映画により、私たちは条件反射のように顔認証を抑圧や無制限の監視と関連付けるようになりました。しかし、常に悲惨な展開になるとは限りません。

ほとんどの技術と同様、顔認証は良くも悪くも利用できます。ユーザーが、明るい肌色と暗い肌色を識別する中で、精度の低いシステムを配備した際、悪意を持ってまたは気づかずに、偏見的な用途に利用することができます(すべての顔認証システムが同等に作られているわけではありません)。現行の政府監視体制の動力源として、人、場所、時間を選ばず監視できるようにもなります。顔データを永久利用のために収集して、プライバシーを著しく侵害するために利用することもできます。

しかし、信頼できる状況下では、顔認証は、悪意のある人のために犠牲になることを強いられることの多いこの時代に、セキュリティや利便性を高めるなど、大きな恩恵をもたらすことも明らかです。弊社は実際、それを目の当たりにしています。学校の玄関で保護者はブザーを鳴らして待たなくても、SAFRを使ってすぐに子どもの学校敷地内にアクセスできます。つまり、学校のスタッフは来訪者とのやり取りの時間を、生徒のために使うことができます。学校事務員は、例えば禁止命令が出ている保護者がカメラに映ったときにそれを通知できるように設定することができます。

SAFRは、高性能の顔認証プラットフォームとして、セキュリティ専門業者がわたしたちの安全を守る能力を向上させることもできます。スタジアムや空港などで、セキュリティのスタッフが分厚いバインダーや何百ものリアルタイムのビデオ画像から要注意人物の写真とのマッチングを試みるのと、SAFRのようなAIによるプラットフォームに助けてもらうのとどちらがいいでしょうか。私は今後5年間で、顔認証はどこにでも導入されるようになると信じています。私にとって重要な課題は、社会を抑圧するためではなく、有意義な利用のために、このシステムをどのように導入するのか、ということです。これには2つの方法があります。1)考察された規制と、2)道義的な設計、構築、および販売です。

最初に、リアルネットワークスはマイクロソフト等の企業からの配慮ある規制要求をサポートしています。規制により、底辺への競争を回避し、競争の明確な水準を設定することができます。こうした規制により、SAFRのようなシステムの機能についてのより高い透明性、顧客によって顔認証が作動中という通知を行うこと、また、特定の個人への継続的な監視については制限がされるべきです。さらに弊社は、そうした規制により、顔検出(画面上に顔があるか)、特徴づけ(年齢、性別、または感情)、永続的な固有識別(他の個人情報が分からなくても、限定的な動作でその人物が何をしているか)、および識別(その人物がデータベース内の誰とマッチするか)の違いを受け入れるべきだと信じています。
つぎに、リアルネットワークスは、弊社の技術を用いて、現代社会の問題を解決できる市場の参入に取り組んでいます。弊社はまず初めに、米国とカナダの小学校から高校へSAFRを無料で提供しました。我々のチームでは、SAFRが学校のセキュリティと利便性を向上できることがわかりました。そこで、弊社は、他の業界のニーズにとどまらず、顧客がSAFRを使いやすいようにするため、世界中の様々なパートナーとの提携を始めました。

そうする上で、SAFRのデザイン、開発及び導入をどのようにするか決断する際に活用する基本理念を、自分たち自身と一般の方々に、明確にしたいと考えました。

1. 顧客も一般の方々も大事にします。 弊社の顧客は、SAFRを導入する企業です。弊社の事業の全てにおいて、顧客の利益も、SAFRによって検出される一般の方々の利益も考慮します。
2. すべての人の固有の尊厳と同等の価値を認識し、絶えずバイアスを減らしていく。全ての顔認証プラットフォームにバイアスはあります。SAFRはすでに世界中で最もバイアスの少ないプラットフォームとしてランク付けされていますが、弊社は、SAFRが異なる肌の色合い、性別、または年齢の人々を同等の精度で検知、特徴づけ、検証、および認識できるようになるまで、改善を止めることはありません。弊社はSAFRが人種を認識するように開発しません。
3. 信頼を獲得し、キープする。弊社はSAFRを第三者機関の独立した性能評価を受けている旨を提示し、その強みと限界を伝え、どのように導入するかについて顧客が選択できるよう指導いたします。 弊社は、金融機関レベルの暗号化を用いて、顧客がユーザー情報をまるで自分の情報を扱うかのように手助けいたします。
4. プライバシー保護をシンプルにする。設計の段階で、プライバシー・ツールをSAFRに組み込むので、顧客からユーザーへの通知、ユーザーのオプトイン、オプトアウトがしやすくなっています。弊社の規定により、顧客は適用されるすべてのプライバシー法に遵守することを要求されます。また、弊社では、法定最低水準を超えた実践を奨励しています。
5. 信頼できる顧客に販売します。弊社は、SAFRを使って、適正手続きを踏むことなく、または公正な法的権限なく個人の生存権、自由及び安全を侵害しようとする顧客にSAFRが販売されないよう、全ての合理的措置を講じます。

弊社はすでにこれらの原則を実行しています。以下がその例です。
• 弊社は、現行で、顔認証ベンダーテストを行っている米国国立標準技術研究所(NIST)にSAFRを提出しています。そこでの評価では、弊社のアルゴリズムは正確性、スピードおよび効率性の組み合わせをベースにしたライブビデオのトップソリューションであると示されています。さらに、SAFRを肌の色合いの違いに対し、最もバイアスの少ないアルゴリズムのベスト5の1つでもあることが示されました。これは素晴らしい結果ではありますが、完璧を目指し、達成するまで改善し続けます。

• 弊社は、プライバシーを守りつつ、アクセスを確保し、その他のセキュリティ使用の場面に、どのようにSAFRを導入することができるかという成功事例を公開いたします。

• 弊社の契約は、パートナーが、制裁措置を取られている事業体への販売を禁止しています。今月の時点で、弊社が、悪用を懸念している(最新のフリーダムハウス評価からの情報による)国および領土のリストにある、国有企業または政府組織への、パートナーによる潜在的販売について詳しく評価するプロセスを実行しています。 弊社は、SAFRの使用により個人の権利が侵害されるリスクが高すぎる取引はいたしません。

弊社は、SAFRが世界で最も信頼される顔認証プラットフォームになることを切望しています。米国とカナダの小学校から高校への参入は素晴らしいスタートでした。セキュリティ専門会社がオフィスやキャンパスをより安全にするために、イベント主催者がスタジアムや会場へのより早くより安全なアクセスを可能にするために、小売業者がより個人個人に合ったオフライン・ショッピング体験を提供できるように、どのようにSAFRを利用するのか、その他のディベロッパーが各社のソフトウェアやハードウェアにどのようにSAFRを組み込むのかなど、様々な場面で用いられるようになることを望んでいます。弊社と顧客とのワクワクするような旅は始まったばかりです。彼らのニーズが弊社の方向性を決め、弊社の規則がこれからのデザイン、開発そして販売の選択肢を左右するでしょう。

SAFRがあなたの課題の解決に直結していたら、是非、弊社の販売チームまでご連絡をお願いいたします